うさぎの秋の換毛期は食事がカギ|冬毛と体重の見方
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編集部による文献調査に基づく記事です(獣医師による個別監修は受けていません)。参考文献は記事末尾に掲載しています。
ご注意: 本記事は診療行為ではありません。個体差・持病・月齢により適切な対応は変わります。気になる変化がある場合は、必ず早めにエキゾチックアニマル対応の動物病院にご相談ください。

秋の換毛期、うさぎの食事で一番大事なことは?
繊維を24時間切らさないことです。冬毛を作る時期に食欲や体重が落ちたら、換毛のせいにせず受診を検討してください。
秋の抜け毛が増えると、つい「毛をどう取るか」に意識が向きます。ただ、うさぎの側から見れば換毛期は新しい毛を作る作業の最中で、消化管を止めないことが土台になります。
この記事では、英国の Rabbit Welfare Association & Fund(RWAF)、ドイツ獣医動物福祉協会(TVT)、米国の House Rabbit Society の公開資料をもとに、食事・体重・水分の3点に絞って整理します。ブラッシングや毛球そのものについては「うさぎの換毛期ケア」をご覧ください。
そもそも秋の換毛期はいつ、何のために起きるの?
年2回のうち秋の換毛は、冬を越すための暖かい冬毛に生え替わるために起こります。
RWAF は、うさぎは一般に春と秋の年2回換毛するとしています。ただし室内で暮らすうさぎは条件が野生と異なるため換毛のパターンにばらつきが出やすく、ほとんど一年中換毛しているように見える個体もいると説明しています。
ドイツの飼育情報サイト Kaninchenwiese も、秋の換毛は暖かい冬毛をまとうために起きると書いています。同サイトは、室内の温度変化が換毛のきっかけになるという見方も示しています。日中と夜間の気温差が開く時期の環境づくりは「うさぎの秋の寒暖差対策」でも扱っています。
抜け方には順番があり、RWAF によると頭から始まって首、背中、脇へと広がり、最後におしりに達します。毛の境目が線のように見えることもあります。
換毛期は食欲が落ちても様子を見ていいですか?
いいえ。ドイツの獣医動物福祉協会 TVT は、うさぎの摂食拒否は常に緊急事態だと明記しています。
TVT の指針第157号には「Futterverweigerung stellt immer einen Notfall dar!(摂食拒否は常に緊急事態である)」という一文があります。
House Rabbit Society も、体重が減る最も一般的な原因は食欲の低下による摂取カロリーの不足だとしたうえで、「うさぎは病気やけがのときでも絶食できない」「うさぎにはエネルギーの蓄えがほとんどない」と説明しています。24時間食べない状態が続くなら心配すべきだとも書かれています。
「換毛期だから食欲が落ちても仕方ない」と扱ってよいという根拠は、今回確認した範囲の資料には見当たりませんでした。食欲が落ちたときの見方は「うさぎがごはんを食べない時に観察したい5つのポイント」にまとめています。
換毛期の体重は、どのくらいの頻度で見ればいいですか?
週1回が目安です。TVT は体重と被毛を含む点検を、少なくとも週に1度行うよう求めています。
TVT は指針のなかで、体重・切歯・爪・体の開口部、そして被毛の点検を最低でも週に1回行うよう示しています。体重と毛の状態を同じ頻度で見る、という組み合わせは換毛期の観察とそのまま重なります。
毛が抜けると見た目の輪郭が変わるため、目視だけでは痩せたのかどうか判断しづらくなります。数値で追うほうが確実です。House Rabbit Society は、痩せすぎのうさぎでは背骨・骨盤・肋骨が目立ち、お腹の輪郭が丸みではなく落ち窪んだ形になると説明しています。
なお Kaninchenwiese は、秋に少量の果物が冬に備えて体を蓄えるのに向く、という書き方をしており、秋にいくらか体重が増えることを前提にしています。ドイツ語圏の飼育情報サイトでの説明であり、獣医団体の指針として示された数値ではない点はご留意ください。

換毛期は牧草を増やすべき? ペレットはどうする?
牧草はもともと無制限が基本なので、増やすというより切らさないことが大事です。ペレットの増量は慎重に。
RWAF は食事の割合の目安として、牧草または生の草を85%、葉物野菜を10%、ペレットを5%としています。牧草については「与えすぎることはない」とし、いつでも食べられる状態にしておくよう勧めています。
ペレットの量については体重1kgあたり1日15gが目安として示されています。選ぶときの成分の目安は、繊維が20%以上、タンパク質が12〜15%です。
毛はタンパク質でできているため「換毛期はタンパク質を増やすべきでは」と考えたくなりますが、RWAF の枠組みでペレットは全体の5%にあたる部分です。増やす前に、まず牧草をどれだけ食べているかを見るほうが優先度は高いと言えます。
牧草だけで足りますか? 英語圏とドイツ語圏で言うことが違うのはなぜ?
基礎食の組み立てが違うためです。英国は牧草中心、ドイツの獣医団体は牧草のみなら生の草を毎日足すよう求めます。
RWAF は「牧草や生草をいつでも食べられることは絶対に欠かせない。換毛しているときはなおさらだ」と書いています。
一方 TVT は、うさぎの基礎食は新鮮なまたは乾燥した植物(刈りたての野草または高品質な牧草)であるとしたうえで、牧草だけを与える場合はバランスの取れた生の食材を毎日与えなければならないとしています。目安として体重1kgあたり約200gを挙げ、その内訳を青草・ハーブ類70%、野菜20%、果物は最大10%としています。
つまりドイツ語圏の獣医見解は「牧草が悪い」ではなく「牧草だけでは足りない」という立場です。なお Kaninchenwiese はこれよりも踏み込んで、乾物に偏ると毛球ができやすくなると書いていますが、こちらは飼育情報サイトの主張です。
どちらの流儀でも共通しているのは、繊維を切らさず消化管を止めないという一点です。日本の住環境では安定した量の野草を確保しづらいため、牧草を軸にするのが現実的でしょう。なお TVT は、餌の切り替えは腸内細菌が適応できるようゆっくり行う必要があるとしています。秋だからと急に生野菜を増やさないほうが無難です。

換毛期に水分を気にしたほうがいいのはなぜ?
飲み込んだ毛は水分が足りないと乾いて滞りやすくなるためです。TVT は水を常時用意するよう求めています。
RWAF は、毛づくろいで毛を飲み込むこと自体は正常だとしています。問題が起きるのは、消化管の動きが鈍っていたり脱水していたりして、毛が乾いてしまう場合だと説明しています。
TVT は、生の食材だけを与えている場合であっても水は常に利用できる状態にすべきで、できればお皿で与えるのが望ましいとしています。食事から十分に水分を摂ることは尿が濃くなりすぎるのを防ぐとも書かれています。
暖房を使い始めると室内は乾きやすくなります。冬に向けた環境側の準備は「うさぎの冬の寒さ対策」も参考にしてください。
動物病院に相談する目安は?
うんちが小さく乾く、数が減る、元気がない、24時間食べない。RWAF はこれを緊急として扱っています。
RWAF は、小さく乾いたうんちや、硬くなって量が減っているうんちは警戒すべきサインだとしています。そのうえで、うさぎが元気をなくしていたり、どこか調子が悪そうだったりする場合は消化管の停滞が進んでいる可能性があり、緊急の診療が必要だと書いています。
ブラッシングについて RWAF は、換毛期には1日に複数回必要になることもあるとしています。手入れの具体的な進め方は「うさぎの換毛期ケア」をご覧ください。
毎日の記録が、換毛期の変化に気づく近道です
体重と食欲とうんちを並べて残すと、換毛の進み具合と体調の変化を切り分けやすくなります。
換毛期は見た目が日々変わるぶん、記憶だけで「先週と比べてどうか」を判断するのが難しくなります。うさぎDiary アプリでは、体重・食事・うんちの記録を30秒ほどで残せます。受診のときに経過をそのまま見せられるので、いつから食が細くなったのかを伝えやすくなります。
記録は、うさぎDiary アプリで
つけた記録は、気になる変化があったときにそのまま動物病院で見せられます。iPhone / Android どちらでも使えます。
よくある質問
換毛期はペレットを増やしたほうがいいですか?
まず見るべきは牧草の食べ具合です。RWAF は食事の85%を牧草や生の草、ペレットは5%程度(体重1kgあたり1日15g)を目安としています。増やす前にかかりつけの動物病院にご相談ください。
うさぎの換毛期はどのくらい続きますか?
個体差が大きく、数週間で落ち着く子もいれば、室内飼いではほぼ一年中少しずつ抜けているように見える子もいるとRWAFは説明しています。
秋に体重が少し増えました。太りすぎでしょうか?
ドイツの飼育情報サイト Kaninchenwiese は、秋に少し蓄えることを前提に書いています。ただし判断は数値で。TVT は体重と被毛の点検を週1回以上求めており、急な増減や背骨が目立つ痩せ方は受診をご検討ください。
牧草を食べる量が減ってきました。どうすればいいですか?
牧草の摂取が落ちると消化管の動きが鈍りやすくなります。うんちが小さい・乾いている・数が減っているなら、様子を見ずに動物病院にご相談ください。
換毛期に果物やおやつを増やしてもいいですか?
糖分の多いおやつで牧草の摂取量が減ると逆効果になりえます。与えるとしてもごく少量にとどめ、牧草が主食である状態を崩さないようにしてください。
関連記事
参考文献
- Merkblatt Nr. 157: Kaninchen (Heimtierhaltung) [指針第157号:ウサギ(家庭での飼育)] / Tierärztliche Vereinigung für Tierschutz e.V.(TVT・ドイツ獣医動物福祉協会), Stand September 2019 (参照: 2026-09-14) リンク
- Moulting [換毛について] / Rabbit Welfare Association & Fund(RWAF・英国) (参照: 2026-09-14) リンク
- What to feed pet rabbits [ペットのうさぎに何を与えるか] / Rabbit Welfare Association & Fund(RWAF・英国) (参照: 2026-09-14) リンク
- Overweight and Underweight Rabbits [太りすぎのうさぎと痩せすぎのうさぎ] / House Rabbit Society(米国) (参照: 2026-09-14) リンク
- Fellwechsel [換毛] / Kaninchenwiese(ドイツ・飼育情報サイト) (参照: 2026-09-14) リンク
- Kaninchen im Herbst [秋のうさぎ] / Kaninchenwiese(ドイツ・飼育情報サイト) (参照: 2026-09-14) リンク